恩頼(みたまのふゆ)を授ける

投稿者 :榎本千絵 on

今年は、暑かった分、森の秋は、豊作です。

野鳥やリスたちの好きな赤や黒い実、クルミが食べきれないほど、
もうたくさんなっています。

毎朝、シジュウカラが、エサ台をトントン嘴でつついて起こしてくれます。

眠い目をこじ開けて窓を覗いても、誰もいません。

そして、しばらくすると、またトントンするのです。

お彼岸の最終日の夕方、外に出ると、ガラちゃんが、今まで聞いたことのない複
雑な鳴き声で、空の何かに向かって、話しかけるように長く鳴いていました。

混群たちは、目に見えないものが見えるようです。

話しかけているのは、ガラちゃんの先祖たちかな、と思いました。

そう言えば、お彼岸には、透明の鳥が挨拶してくれるように、
木の間を飛ぶのを見たことがあります。

先日、秋分の日に、出雲大社相模分祀にて、お彼岸のお祭りがあり、
その際に宮司が、祝詞の中に、
「「恩頼(みたまのふゆ)を授ける」という美しい言葉があります。」と教えて
くださいました。

「みたまのふゆ」とは、古代の日本において、神様や先祖からの恩恵を受けては、
魂や心を震わせてきたことを表しているそうです。

以下は、出雲大社東京分祀のHPからの抜粋です。

「人は「霊止(ヒト)」として即物的ではなく霊的存在であり、
祖先からの霊質を継承し大国主大神のムスヒによりヒトとして生かされておりま
す。そしてヒトの死後も霊魂は、幽世に帰り入り幽冥大神と称えられる親神大国
主大神の恩頼(みたまのふゆ)をうけ子孫の守護神として追慕をうけて霊魂の安
寧を得ております。よってヒトは、大国主大神の御神徳の生死一つながらの「幽
顕一如」の道を歩むところにその安心立命があります。」

先祖供養を大切にする出雲大社の長い歴史と
大黒様(かくりよのおおかみ様)の懐の深さを思います。

ご先祖を守り、日々の生活を見守って下さるので、
感謝の祈りを捧げると、本当にご加護が得られるので、
嬉しくて、有難くて、心が震え、心が豊かに増えた感じがします。

「みたまのふゆ」とは、このことでしょうか。

冬の語源は「振ゆ・震ゆ」とも「増ゆ」とも言われます。

厳しい寒さの中、太陽や人のぬくもり、命の有難さに、心を振るわす。

23年ほど前、初夏に山中湖を訪れ、
冬は、マイナス15度、命の有難さと太陽の温かさに、きっと心から感謝できる
山中湖に住もうと思ったことを思い出しました。

寒くても文句を言ってはいけませんね。

秋も、山の長い冬の始まりを前に、色とりどりの恵みを授けてくれた自然と神様
に感謝して、「みたまのふゆ」を授かる季節です。


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