ガラちゃんの尾っぽ
投稿者 :榎本千絵 on
朝起きてカーテンと窓を開けると、「トントントン」と強い音が聞こえてきます。
ヤマガラのガラちゃんのお呼びです。
好物の麻の実は、ちゃんとエサ台に置いてあります。
だから、本当は呼ぶ必要はないのです。
ですが、ガラちゃんのお呼びなので、何はさて置いても慌てて階段を駆け上り、
ガラちゃんのエサ台に飛んで行きます。
それから、「しっぽしっぽ~」の始まりです。
「ウィニーザプー」のメロディーに合わせて、私が、「しっぽしっぽー」と歌う
と、ガラちゃんがしっぽ(尾っぽ)を私の手にくっつけながら、
手のひらや近くから取った麻の実をついばむのです。
ガラちゃんが甘えたいときには、
空いてる指で、ガラちゃんのお腹やお尻を
なでなでさせてもらうこともあります。
エーデルワイスや、カラスの歌など、いろんな童謡のメロディーに合わせて
私が勝手に作った歌詞で、「ガラちゃんの歌」を歌うと、
今度は、ガラちゃんが、私にお尻を向けて、
尾っぽを手にグイっと押し付けて、
「トントントン」と両足に挟んだ麻の実を嘴で
たたき割りながら食べるのが、
ガラちゃんと私の日課です。
言葉として、「しっぽ」とは、「尾っぽ」のことだと、理解している
のです。
頭が良くて、甘えん坊のガラちゃんです。
「とりほん」(西東社)という本がありますが、
その本によると、鳥は、人間の言語を理解するだけでなく、
人と会話することもできるなど、本当に頭が良いらしいです。
ガラちゃんに話しかけていると、例えば、
「『グイッグイッ』ってしっぽを押し付けてくれるんだね」、と言うと、
「グイッ」の意味を一生懸命考えて理解しようとしているように見えるので、
私も分かってもらえるように、繰り返し言います。
「山の音楽家」の歌詞、「トトトントントン、トトトントントン」のところで、
ちゃんと合わせて、トントンしてくれるので、きっと、その意味も分かっている
のではないかと思います。
そこで、いつも窓際のエサ台のすぐ近くに暮らしている山鳩が、
「ダメだよ、ここは、鳩のエサ台だよ」とガラちゃんを追い払います。
ガラちゃんと鳩さんは、いつもそれぞれのペースでやって来て、「鳩のエサ」と「麻の実」をついばみます。
そして、リス。
リスは、最近は起こしに来ません。
その代わりに、家の入り口に生えている松の実(松ぼっくり)を
毎日食べて、一日10個ぐらい、エビフライを作ります。
エビフライを観察すると、お尻の部分は緑色なので、
まだ青い松ぼっくりを食べているようです。
青い松ぼっくりはそんなに美味しいのでしょうか?
とにかく、毎日たくさんのエビフライが落ちていることは、
リスが楽しんでいることの証明なので、嬉しくて、全部拾って並べてあります。
今年は、クルミが豊作で、少し前は、
窓からクルミをかじる音がいつも聞こえて来ていましたが、
今は、松ぼっくりの季節です。
他にも目立たたない木がたくさんありますが、
どの木も、きっと動物たちの役に立っているのでしょう。
だから、どんな木もガラちゃんにとっては大切で、
どこかで枝を切ったり、いわんや、木を切り倒した音が聞こえると、
慌てて飛んで行きます。
ガラちゃんは本当に森を大切に思っているのです。
森を守る天使たちです。
ガラちゃんが仲良くしてくれて、本当に嬉しく思います。
来年は、手に乗ってくれれば良いな。
尾っぽを触らせてもらうだけでなく。