ヤマガラの土地
投稿者 :榎本千絵 on
今年も、4羽のヒナが、無事巣立って大きくなり、
窓辺に来て、甘えた声で、ジージー鳴いて呼んでくれます。
そして、私の目をじっと見つめるので、
「暑いね。頑張り屋~♪頑張り屋~♪頑張り屋~のガラちゃん♪」と言うと
翼をボワッと膨らませ、ブルブルッと震わせて、片脚を上げてカイカイします。
それで、また同じように言うと、
今度は、音に合わせて身体を右へ揺すり、左に揺すってくれます。
応援の言葉が分かるようです。
外に出ると、ガラちゃんが手水鉢に止まって、私の方に向かって止まり、新鮮な水を美味しそうに飲んでから、すごいスピードで、正面から向かってきて、急旋回します。
それから、ジージーと鳴いて、挨拶してくれます。
朝には、寝室の窓枠をコツ、コツ、コツ、とやさしく叩いて起こしてくれます。
窓を開けると、甘えたお顔でグルーミングしてご挨拶です。
少しづつ近づいて来て、最後は、私めがけて飛んで来て、急旋回で飛んで行ってしまいます。
この家と庭は、留鳥であるガラちゃんの縄張りの中にあるので、生活と心はいつもガラちゃんと共にあります。
外出すると、直ぐに寂しくなって、早く戻ってガラちゃんに会いたくなってしまいます。
土地を離れることで、ガラちゃんの存在の大きさが再認識させられます。
こんなに小さいのに。
この土地を守ってくれているのです。
ガラちゃんの甘いおめめと、健康な匂いが好きです。
そして、帰ってくると、留鳥たちが皆集まってきて、頭の上を飛んだり、
鳴いたりしてお出迎えをしてくれます。
最初は、ただ餌を置いていただけでしたが、
心を通わせようと、何年もかけて鳴き声を真似してみたり、話しかけたりしているうちに、
今では、じっと目を見つめ合い、心を通わせることが出来るようになり、
相思相愛の仲になってしまいました。
これも、主人が、窓際に餌台を設置してくれた御陰です。
それに、窓際に丁度よい素敵なデスクも置いてくれました。
窓越しだと野鳥は安心して、人間の顔を観察出来るのです。
ガラス越しだと、数ミリの距離で野鳥と近づくことが出来るので、
とても幸せです。
主人は、「ガラス板を両手で持って、森を散策しながら野鳥と対話する
『バードコミュニケーション』のワークショップを開けばいい」と言います(笑)。
日本野鳥の会の創立者、中西悟堂さんは、野鳥たちとお布団に入り、一緒に散歩したと言います。
まだまだですね。
それでも21年、山中湖に住まわせて頂いて、土地の供養も続けているうちに、
だんだんと身体も心も馴染んで来て、
今では、野生の鹿さんや野鳥たちともすっかり顔馴染みになり、
足の裏は根が生えたようにしっかりと大地に吸い付き、大地はしっかりを足の裏を押してくれます。
風が吹くと、木々の葉の歌が皮膚に染み込むように感じます。
そして、その風は、山の神様が吹かせているので、山の神様の息吹も
私の身体を包みながら、通り過ぎて行きます。
ただ、そんな気がする、というだけかもしれませんが、
山中湖は、私にとってすっかり居心地のよい、大切に守りたい
そういう土地になってしまいました。
散歩の途中で野鳥の声がすると、直ぐに反応して、
「おーい!ガラちゃーん!」とか、「ピチュちゃーん!」と喜んで叫んでしまう私に
主人は苦笑しながら付き合ってくれています。
自然に抱かれて地球の愛に埋もれている日々に
感謝して暮らしたいと思います。